『ブレードランナー2049』感想 〜「本物」を信じる小さな願い【ネタバレ】映画『ブレードランナー2049』は、1982年に公開された『ブレードランナー』の続編です。前作は斬新なSFの未来世界の中で哲学的なテーマを描く重厚な作品でした。歴史的な名作であるとされる作品の数十年越しの続編として、本作はどうだったか。結論から言えば、前作の世界観とテーマを更にアップデートさせ、非常に必然性ある物語を紡いでいたと思います。31Oct20172017年映画
『LOGAN/ローガン』感想 〜虚構のヒーローを信じる意味【ネタバレ】ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン、およびパトリック・スチュワート演じるプロフェッサーXの最後の姿を描く映画『LOGAN/ローガン』。2000年に公開された『X-MEN』以来、彼らは実に17年もの間、ヒーローの役を演じ続けてきました。リアルタイムで追いかけてきた人々にとっては特に感慨深い作品です。彼らがどんな結末を迎えるのか、ファンにとっては非常に気になるところでした。しかし蓋を開けてみると、この『LOGAN/ローガン』は今までのX-MENシリーズとは全く毛色の異なる作品でした。むしろ、今まで自分たちが演じてきた役を、ある意味否定する内容だったのです。それはヒーロー映画と呼ぶにはあまりにリアルで、痛々しく、哀しく、そして親しみ深...14Jun20172017年映画
映画『夜は短し歩けよ乙女』感想 〜歩き続けろ夜が明けるまで【ネタバレ】映画『夜は短し歩けよ乙女』は森見登美彦氏による同名小説をアニメ映画化したものです。実は私はこの原作小説を読んでおらず、予告編を観て「先輩が乙女を追っかける青春物語なのかな―」程度の認識で映画館に足を運びました。内容よりも、湯浅監督によるケレン味溢れるアニメーション表現のほうを堪能する気持ちでいたのですが……。22Apr20172017年映画アニメ
『パッセンジャー』感想 〜素晴らしい人生のために【ネタバレ】映画『パッセンジャー』の公開から10日ほど経ちました。私は公開日に観に行ったのですが、そのときの感想がこちらです。01Apr20172017年映画
『ひるね姫』感想 〜継承される夢と発見する自己【ネタバレ】正直言ってかなり不器用な作品です。「考えるな、感じろ」という語り方をしていることは間違いないのですが、「感じる前に考えてしまう」作りになってしまっています。結果として、「面白い部分もあったけど、結局何の話だったのかよくわからない」というような、それこそ「寝起き」のような感想になりがちです。実際、私もそうなりました。ただ、本作が何か重要なことを伝えている気がするのも事実です。夢というモチーフと、そこで展開される魔法をめぐる物語。それが全編を通して確かに主人公の現実や物語とリンクしていき、同時に「親子の物語」という小さな物語が、より大きな物語ともリンクしていく構造。不器用ではありながらも、何かを伝えようとしている気がするのです。従って、...18Mar20172017年映画アニメ
『ラ・ラ・ランド』感想 〜夢をみて、叶えるということ【ネタバレ】夢をみていた~『ラ・ラ・ランド』キャッチコピーアカデミー賞14ノミネートで史上最多タイ記録。世界を熱狂させた『セッション』のデイミアン・チャゼル監督によるミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が、2月24日についに日本上陸しました。さて私もIMAXで鑑賞してきましたが、劇場を出た直後の感想はこんな感じです。25Feb20172017年映画
『ドクター・ストレンジ』マッツ・ミケルセン来日! 舞台挨拶レポート本日、映画『ドクター・ストレンジ』の舞台挨拶に行ってきました。いやーマッツ、ステキな方でした! ファンのための撮影タイムには後ろの方の観客席にも近づいてくれたり、ファンに握手をしていたり、日本語で挨拶を返してくれたり、とても優しい方でした! 観客は女性が多く、マッツが動くたびに黄色い歓声があがっていました笑サプライズゲストが登場したり、ファンによる質問タイムがあったりと、とても楽しい舞台挨拶でした。さて、本記事ではそんなステキなマッツの舞台挨拶の様子をレポートしたいと思います。煩雑なメモを頼りにしているので、不正確な部分もあるかもしれません。ご了承下さい。(写真は一部ここより転載)(2017年1月27日 12:45~ @T...27Jan20172017年映画
『沈黙-サイレンス-』感想 〜神の沈黙に見出す答え【ネタバレ】 かの有名な遠藤周作の小説『沈黙』を映画化した本作。それは、弱き人間が神との対話を試みた歴史であり、マーティン・スコセッシ監督が28年の歳月をかけて導き出した「信仰」というものへの一つの答えであり、そして人間存在の根本を問い直す永久不変のテーマでした。初めに断言しておくと、この映画で描かれることは単なる歴史的事実・宗教解釈ではありません。その証拠に、本作ではあえて時代背景の説明は与えられていません。聖書の引用文や用語なども会話のなかで当然のように使用されており、この映画が何か歴史や宗教を超えた普遍的な問いを投げかけようとするものであることを示しています。25Jan20172017年映画